Vol.1  2015/11/18
   「タワマン節税について」

 

高層マンションなどの市場価格と財産評価基本通達に基づく相続税評価額との乖離を利用したいわゆる「タワーマンション節税」について国税局が監視の目を強め、各局に適正対応を指示したとの記事が出ていました。

 人が亡くなると、一定金額を超えた場合には相続税が課税されます。相続税法の計算では、亡くなられた時点での個々の財産の評価額を以下のように規定しています。

(評価の原則)

第22条 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与

により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、

当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。


 不動産は、個別性が強く一つとして同じものがありませんのでどのように金額を算定しこの「時価」を測定するかが悩ましいところです。通常は、不動産評価基準により専門家である不動産鑑定士に評価してもらうのが一番良いのですが、以下の理由により相続税法の「時価」を計算するためのルールを規定した通達あります。これを財産評価基本通達といいます。多くの裁判例においてもこの財産評価通達による画一的な評価については、一般的には「納税者の便宜、徴税費用の節減という見地からみて合理的」でありかつ、「租税負担の実質的公平を実現することができ、租税平等主義にかなう」との判断が下されています。財産評価通達の中で


(2) 時価の意義
 (略)その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。

としています。これは納税者毎に評価方法が異なっては課税の公平性が保たれなくなるため簡便的(と言っても難しいのですが)なルールが存在するのです。但し、このルールが簡便的なために乱暴な言い方をすればかなりおおざっぱな当たらずも遠からず的なものなのです。今回の「節税スキーム」もこのルールの致命的な欠陥でもある「簡便性」を利用した手法です。この通達の法源性の話は別の機会としますが、この通達も時代にそぐわないものとなってきているのだと思います。ある記事ではこのルールにそぐわないものは以下の規定(総則6項)


(この通達の定めにより難い場合の評価)

6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産

 の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。


で対応するとも記載されていました。この規定はこのルールの「簡便性」つまり大雑把な評価方法を補完するために存在するものです。基本的にこのような包括的な否認方法ではなく、個別否認できるマンションの評価方法の抜本的な見直しが必要だと思います。これは、上記の総則6項の乱用にもつながり、課税要件明確主義や予見可能性・法的安定性の観点からも好ましいことではありません。その場しのぎの対策でなく、時代にあった該当通
達の見直しを強く望みます。